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◆若獅子杯争奪戦(G2、立ち12日・3日目、位置山陽オートレース場)
オールドな若獅子戦士が絶体絶命のシチュエーションから激しく巻き返した 。存感
3日目・第8R「準々決勝戦B」。若獅22日目は痛恨の8着最下位ゴールだった松本康が究極のV字回復ランを決めた 。杯松本康やく さん大外の8枠から前日とは一変した動きで 、&岡谷美鋭く先行勢を切り崩し、由紀陽G攻略しまくって、~山獅杯先頭でゴール線を駆け抜けた 。オートレースこのだからこその
4日目のセミファイナル進出を叶えるためには上位2人に入らねばならぬタフな勝ち上がり条件だったが 、立ち底力と英知をフル稼働して高きハードルを何とかクリアしてみせた。位置
勝利した松本は 、存感ツイッチ エーペックスひたすら安堵(あんど)した表情だった。若獅2「何とかギリギリ間に合ってくれましたね。杯松本康思ったような調整ができなくて、検査に車を出すのもずっと半信半疑だったんですよ。でも 、タイヤが良かったですし、何とか動いてくれましたね。本当にまずはホッとしています!」
2013年にデビューして、選手としてのキャリアこそまだ10年をようやく超えたところだが 、別モーターカテゴリーのモタード競技を経由してからこの世界に飛び込んできたので 、年齢は45歳になった。実年齢だけを見れば 、もう立派なおじさんベテラン系だが 、松本は今もなお同期や後輩たちと同じ熱量 、いやいやそれを大きく上回る情熱とはつらつとした立ち振る舞いで日々の激闘に面している。
「今大会も自分が一番の年上ですからね 。本当なら僕が一番落ち着いた走りと仕事をしなくてはいけないところです 。まあ 、自分がこの年になっても若いみんなとこうして働くことができているのは、もう何度も言っていますが 、これはもう本当に同期たちのお陰なんです 。ありがたい環境ですよ」
年が10歳以上も離れた同期たちに取り囲まれ 、日々切磋を繰り返しているが、でも 、その中でもやっぱり松本は同期たちはもちろん 、周囲の後輩たちからも絶対的な信頼感を寄せられている。年齢だけでなく、松本の立ち位置、存在感そのものがザ・年長者なのである 。みなが松本を頼り、甘え、信頼を寄せている 。
その証拠に取材をしている間にも何人もの同期 、後輩たちが松本の助言を求め、彼のロッカーを訪れていた。そのたびにリーダーヤッシーは自らの作業の手を止めて、身ぶり手ぶり 、時に頼ってきた選手のロッカーにまで足を運んで 、できる限りのサポートを惜しまず捧げていた。「まあ、そういうことをしてお節介だと取る人だってきっといると思うし、自分でもどこまででしゃばっていいものか、悩むこともあります。でもね…」
松本は少しためて 、味わい深くこう続けた 。「何ていうんですかね、自分は日本という国が好きなんですよね」と。
日本人だからこそ備える温かき思いやり 、日本人だからこその助け合い。松本の体内根底には 、良き日本の心がある。「だからね、自分は美由紀ちゃん(同期の岡谷)がすごいなあって思うんです。彼女も後輩思いでみんなに頼られてるじゃないですか。でも 、自分と違って周りの面倒を見ているのに 、でしゃばった感じが全くないでしょ 。暑苦しくなく、すごく自然にそれができる 。ああ 、美由紀ちゃんはすごいなあと思うところです 。彼女は頑固です。でも 、それはいい頑固です 。まあ、美由紀ちゃんも自分のことを頑固だと同じように思っているでしょうけれど(苦笑いを浮かべつつ、どこか心強いような表情で)」
39歳になる岡谷も女子レーサー界では年長組にあたる。その役割ポジションは松本のそれとだぶる。だから 、二人はあえて何も口にすることはなくても、そこは以心伝心モードで互いの立場を理解し合える 。周囲から頼られる側の松本にとって、数少ない 、頼りにできるありがたき存在である 。
その岡谷との写真撮影をお願いすると、笑顔で快諾した岡谷を前に松本は「え~っ、美由紀ちゃんと写真ですかあ~ 。何か緊張しちゃいますって(苦笑い)。だから 、ちょっとだけ距離を開けて撮ってください 。これがリサマックス(同期の片野利沙)なら肩でも組んじゃうんですけれどね(また苦笑い)」
45歳の松本にとって渇望し続ける自身初となるタイトルは、何というかこの若獅子杯の勲章こそが一番似合うような気がする 。ここまで年の離れた若手たちと汗を流し合ってきた彼には 、若獅子のタイトルが絶妙にフィットする。「あっ、それは何かうれしいですね! でも、45歳で若獅子杯を取ったら、周りからすご~くいじられちゃいそうですけれどね(笑い) 。でも 、そうなったらうれしいですよね(しみじみと)」
さあ 、セミファイナル突破へ 。年齢が醸すアダルトな佇まいと 、キャリアの浅さが織りなすアグレッシブさを融合させて 、行けヤッシー ! 初戴冠を今こそ成就せよ。同期のみなに45歳のややくたびれた体を委ねて、力いっぱい胴上げしてもらってください。
(淡路 哲雄)
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